「悪女について」(有吉佐和子)の読書感想文 書き方の例文 744字

 

読書感想文
「悪女について」(有吉佐和子)
※744文字※
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謎の死を遂げた資産家の女性について、生前、関わりのあった人へのインタビューで構成されています。

高みを目指すこじらせ女子の物語。

週刊誌などでは、あらゆる手段を使って高みに上り詰めた悪女、と報道されていますが、実際に彼女と関わった人から話を聞くと、その実像は人によってさまざま、報道されている通りの悪女だという人と、絶対にそんな人ではないと訴える人とに分かれています。

出生すらも、彼女の語るものと、後半に登場する母親の語るものとは違い、どちらかが嘘をついているわけですが、彼女自身が生まれた当時のことを知っているわけもなく、母親が本当のことを語っているのだろうと判断できます。

貧しい暮らしのなかで、本来、自分はこんな生活をするべき人間ではない、事情があってこんな生活に甘んじているだけだ、というのは、誰もが一度は考えることかもしれません。

現代でも、可哀そうな自分に酔いしれ、自分は悲劇のお姫さまだと思い込むタイプの女性は少なからず存在しますが、その最たる存在といえるのではないでしょうか。

高単なる悲劇のお姫様ごっこと違うのは、思い込んだその悲劇をバネに、自分の力で本物のお姫様になろうとしたことでしょう。

彼女自身に悪意があるわけではなく、接する人に合わせて、臨機応変にこうありたい自分を演出したのかもしれません。

セルフプロデュース力に長け、それを仕事につなげ、財を成す実力と才能があったのは間違いなく、今でいう「こじらせ女子の成功譚」ともいえそうです。

謎の死を遂げているわけですから、完全なる成功というわけではないのかもしれませんが、それも含めて、彼女の演出なのかもと思わされます。

この謎の死の真相も、彼女の本質も、最後まで解明されることはありませんが、それが物足りないとは思いませんでした。

 

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