読書感想文
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(東野圭吾)
※610文字※
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東野圭吾さんは個人的に好きな作家さんです。
重たいテーマも上手に書かれるのですが、この「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は、とても爽やかなティーン向けとも言える作品だと思いました。
雑貨店の郵便口を通して、過去と未来が繋がり、様々な人間模様が描かれます。
いわゆるタイムスリップものなのですが、(但しタイムスリップするのは手紙のみ)、そういった作品にありがちな、無理な感じが少ないと思います。
相談事を書いた手紙が、過去と未来を行き来し、現実の悩める人々の道を照らします。
それぞれ、簡単に結論の出せない難しい問題に直面し、どの道を進めばいいのか悩んでいますが、手紙に後押ししてもらいたいだけの人もいれば、手紙に反発して違う道を選ぶものもいます。
この作品を読んで感じたのは、アドバイスは大切だけど、どの道にしろ、誠実に一生懸命生きるしかない、ということです。
だけど、赤の他人が自分のことを一生懸命考えてくれるというのは、それだけで嬉しいですね。
この返事を返している店主のような人が増えたら素晴らしいですし、まずは自分がそう出来るようでありたいと思いました。
この雑貨店には、たくさんの悩み事の手紙が届きますが、その中に、一枚白紙の手紙があります。
その手紙に対する店主の返事が秀逸です。
それを読んで、あぁ、これは若い人たちに読んでもらいたい本だと感じました。
結局奇蹟を起こすのは人間なのかもしれません。
読後、ほっこりと心の温まる良い作品でした。
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