読書感想文
「ドン・キホーテ」(セルバンテス)
※680文字※
ドン・キホーテ、この名前誰もが一度は聞いたことがあると思います。
この物語は騎士道物語の読みすぎで、自分は伝説の騎士ドン・キホーテであると勘違いした下級貴族のおじいさんが、農民のお付きを連れて、スペインのあちこちを巡る物語です。
風車に立ち向かう老騎士の話はあまりにも有名ですが、この物語はそれだけではありません。
空想上のお姫様を馬鹿にされて命がけの決闘をしたり、羊の群れに雄雄しく突撃して戦いを始めたり、突如現れた謎の悪魔たち(実際は葬儀の参列)に殴り込みをかけたり、そんなピントのずれた武勇伝が、この物語にはたくさんあります。
客観的に見れば、彼のやっていることはただの迷惑行為です。
本物の騎士道物語の英雄達の戦いには遠く及ばない、自己満足の戦いにすぎません。
しかし、己の想い姫に愛と忠誠を捧げながら、騎士道を掲げて艱難辛苦に立ち向かうドン・キホーテは、決して、ただの道化師ではありません。
彼はなんの力もない偽者の騎士です。
しかし、彼の行動や思想は決して偽者ではないのです。
それは、風車に立ち向かった例のエピソードを見てもわかります。
このエピソードは、風車が凶悪な巨人に見えたドン・キホーテが、それを倒すために突撃する
エピソードです。
はたから見ると、彼は風車に突撃する大馬鹿者にすぎません。
しかし彼の主観では、なんのためらいもなく恐るべき巨人に突撃しているわけです。
ためらいなく巨人に突撃する騎士、なんと勇気ある騎士でしょうか。
他にも、ドン・キホーテには一概に愚かと言い切れないシーンがたくさんあります。
愚かにして偉大な騎士の物語、それがドン・キホーテなのです。
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