「ループ」(鈴木光司)の読書感想文 書き方の例文2007字

 

読書感想文
「ループ」(鈴木光司)
※2007文字※

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鈴木光司さんの「ループ」という作品だけを聞いてもピンとこない方も多いのではないでしょうか。

しかしんがら「リング」「らせん」に続く作品という言い方をすればなんとなくわかるかもいるかもしれません。

一般的にはホラーとして非常にいろいろなところで取り上げられた第一作の「リング」が映画化され、ドラマにもなり、最終的にはハリウッドでも映像化されたほどです。

もともと、わたしはホラー小説には興味がなかったのですGこのリングに関しては「呪いのビデオ」にこめられた山村貞子の怨念によって殺人が繰り広げられるという概要にひかれて、読みだしたのが最初でした。

確かにホラー作品でしたがそこには単なる殺人だけではなく、怨念、両性具有に苦しむ山村貞子、そして超能力者の山村志津子、そこから現代にうつりゆく怨念という展開が非常に魅力的でした。

さらに続編の「ループ」では単なる怨念による連続殺人ではなく怨念、天然痘、そして遺伝子というキーワードまで出てきて、ホラー小説よりもサイエンスミステリーという要素のほうが強くなってくるわけです。

そして、最終的には「ループ」でこの世界観をもっと大きな観点で見つめることになって一時的に完結を向けることになるのです。

実はその後も「エス」「タイド」という作品まで続いていくわけですが、私の中ではこのシリーズは「ループ」でいったん、その世界観を終えたのではないかと考えています。

さて、この作品の中でもっともピックアップされるべき人物は呪いのビデオを作り出した張本人である山村貞子、そして全編にわたってすべてを仕組んだとされる高山竜司ということになるでしょうか。

まず、山村貞子という女性についての私の思いです。

母親が超能力者として世間から虐げられ、その娘として生まれ、さらに自身の超能力と両性具有という生まれ持ってのハンデ、いや不幸によってその怨念をふくらませることになってしまいます。

どうしても貞子といえば、井戸を這い上がってきたり、テレビ画面から這い出てくるという怖いイメージしかありませんがわたしは違ったイメージをもっています。

今の時代にもし、彼女が生まれていたらどうでしょうか。

制に対しても多様な価値観が生まれている時代ですから、親でなくとも彼女に対して理解を示してくれる人間がどこかにいたかもしれません。

彼女自身も井戸に捨てられてしまうようなことはなかったし、きっと違った人生をあゆめることになっていたのかもしれません。

そして、当時の疫病であった天然痘も今の医学であれば、治らない疾病ではありません。

といった考え方はこの作品が描かれた20年以上前はだれも考えていなかったのでしょうが。

そして、次に取り上げたいのが高山竜司です。

リング、らせん、ループと読んでいくとこのストーリーの謎解きともいえるループの中ですべての世界が彼によって仕込まれていた、考えようによってはかれが世界の支配者としてすべてを仕組んでいたという設定に読み取れます。

鈴木光司さんがどこまでこの展開を頭に描いたうえで作品を描き始めたのかは読者からはわかりませんが、間違いなくこの作品の、そしてシリーズの主役は何といっても高山竜司なのです。

さて、作品の世界観、そしてキーパーソンである山村貞子と高山竜司。

この作品に関してはとにかくスケールの大きさが魅力だとおもいます。

1作目のリングだけを指して、ホラー小説だという一般論を覆すためにとにかくみなさんにはらせん、ループまですべて読み込んでほしいと思うわけです。

これからの医療を考えるべきこと、そして電脳空間にまで踏み込んでいるこの世界観はきっと読むものみなを虜にしてくれるはずです。

鈴木光司さんの作品はこれらに代表されるように単なるホラー小説にとどまらず、なにかほかのテーマとミックスさせたメッセージを放つことが多くなっています。

なかなか、映像化が難しい側面もあるのですがだれでもわかるように鈴木ワールドをもっと多くの方々に知ってもらいたいというのがわたしの思いです。

そして、実際に原作もセットで読んでもらって、いろいろなテーマについて改めて考える非常に良いタイミングになると思います。

私自身も、この作品を一緒に読んだ友人たちとこれからの仮想空間、そして医療の進歩、そして少しオカルトなところではビデオメッセージで本当に遺伝子異常を発生させることができるのかといったところまで深く議論する時間ができました。

少し、ナンセンスな話もあるかもしれませんがこのループという作品はそれくらいのテーマの大きさとメッセージ性を秘めていることはいうまでもありません。

時代を超えてもリング、らせん、ループというこの三部作は非常に読み応えのあるシリーズです。

時間のある時にすでに読まれた方も、まだ読んでいない方も是非読んでもらいたいと思います。だれにとっても、きっとそのメッセージに新たな発見があるはずです。

 

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