「東京タワー」(江國香織)の読書感想文 書き方の例文1200字

 

読書感想文
「東京タワー」(江國香織)
※1227文字※

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江國香織の「東京タワー」は、年上女性と恋愛、または愛人関係にある二人の大学生の物語です。

この作品はこの二人の対比が何よりも面白さ、そして相手女性の存在を引き立てていました。

しかも二人の相手女性は両方とも夫がいるので、二人は不倫相手、ということになります。

ただ、大きく違うのは主人公の透は恋愛対象として見ているのに対して、もう一人の耕二はきちんと女子大生の恋人がおり、肉体関係のみの相手として捉えている、捉えようとしている点です。

ただ、この二人が相手にどんどんハマっていってしまう様子は、他の恋愛小説と同じように、相手を好きになって、愛情を求めようとしている姿に重なります。

そのような二人の恋心はそれぞれ違うものに邪魔をされてしまいます。

このような、恋に障害がある点も恋愛小説のまさに王道といったところでしょう。

そして、この障害は二人で違います。

まず、透は純粋に相手の女性を愛してしまい、恋人になりたい、ずっと一緒に居たいと想ってしまっており、それゆえに相手女性の夫が、そして、女性側が夫のことを愛しているという事実が透の障害です。

耕二の場合は彼の内面が大きな障害となっていました。

恋人はいるし、年上女性との恋愛遊びは、その名の通りただの遊びでしかない、彼自身はそう思っているのに、心の奥底や体では、年上女性のことを激しく必要としてしまいます。

プライドなのか、一度決めたからなのか、耕二はそれを否定しつつ、彼女との付き合いを続けて行きます。

この違いが、結末を大きく分けてしまいます。

それがまた、非常にいいなぁ、と思わせてくれるのです。

普通の恋愛小説ならば、基本的には主人公と相手女性の一組のカップルが存在するだけで、ハッピーエンドになるか、バッドエンドになるか、それは最後の最後まで分かりませんし、どちらかに転んだら、それは永久に変わることはありません。

ですので、そのどちらかに転ぶかによって、読者の好みは大きく変わると思います。

私の場合は、ハッピーエンドが好きですし、同様のことを思う人は多いでしょう。

ただ、この作品の場合は、透と耕二で、ハッピーとバッド、両方のエンディングを迎えることになります。

それまでの心情を踏まえたり、考え、行動などを追っているからこそ、その結末には非常に納得できますし、好きな方の結末が心に残ることでしょう。

その上、何が原因になってその結末になったのか、それもはっきりと分かりやすい文章、物語の構成になっているので、読後感は非常にすっきりとしていました。

バッドな結末を迎えてしまった方には、ふと頑張れよ、と言ってしまいたくなるようなものですし、
どうしようもない物ではありません。

どのような結末であっても、それが小説の、登場人物の人生の一部を切り抜いて物語にしているだけで、この「東京タワー」は特にそのようなことを非常に感じやすいものになっています。

それもまた、ある種の爽快感のある読後感に繋がっているのでしょう。

 

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