「天国までの百マイル」読書感想文の書き方の例文2000字

※2003文字

「天国までの百マイル」(浅田次郎)を読んでの感想

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浅田次郎さんといえば、わたしのような40代の男性だけではなく、
いろいろな世代が幅広く読んでいる作家の一人だと思います。
それもそのはず。浅田次郎さんは作品そのものが幅広いからです。
私自身が読んだ作品も
「プリズンホテル」「蒼穹の昴」「鉄道員(ぽっぽや)」
「椿山課長の七日間」
など本当に数え上げられないほどです。
時代小説から現代小説、さらには浅田次郎さんの面白いのは
エッセイもたくさん書かれています。
私自身、競馬が大好きなのですが、浅田次郎さんは競馬にも造詣が深く
、競馬に関する著書も手掛けています。
しかし、今回は数ある作品の中からわたしが最も好きな
「天国までの百マイル」を読んだ際の感想について
ご紹介したいと思います。

この作品のテーマは何と言っても親孝行、そして母親の命を
救うために奔走する中年男性の姿という一言になるのですが
浅田次郎にかかってしまうとこのシンプルなストーリーでさえも
非常に考えさせられるものに一変させられてしまいます。

さて、この作品の主人公は城所安男。自身は一度は不動産業界で
成功したものの、事業に失敗してしまいます。
妻子にも愛想をつかされ、友人に雇ってもらったにもかかわらず、
そのお給料はすべて妻子のもとにいってしまうという
非常に残念な男性です。
しかし、作品の中ではどこか憎めないところがあります。
そのキャラクターを象徴するかのように水商売の女性は彼を
なぜか支援してくれるわけです。
そして、安男の母親がキーマンとして登場してきます。
重い心臓病にかかっている母親です。
母親は女手一つで安男の兄2人と姉を含む4人を立派に育て上げた
苦労の女性です。
もちろん、ふらふらしている安男のことを誰よりも
気にかけていた女性です。
後、なんといっても別れたといっても安男の奥さんとも
つながっていて、いつもつながりを持っていたところも
心温まるところといえるでしょう。

さて、母親の病気ですが、通常の治療ではなかなか
助からないというのが主治医の診断です。
そんなときに安男が聞きつけたのが、千葉のカトリック系の
病院で「神の手」を持つ外科医の話です。
もちろん、母親の病状からして、まずは運搬するだけでも
非常に大変なことです。
安男の兄や姉たちはここまでお世話になった母親のことを
どこか厄介に思っている節がある中、安男だけは助かる
見込みがあるのであれば、何でもしてみたいという
思いを持ち、なんと、お金もないにもかかわらず、
ポンコツのワゴンを借りて千葉までの百マイルの
旅路を決意するのです。

そこには何といっても色々な人間の協力がありました。
母親が入院していた病院のスタッフです。
そして、安男を雇ってくれていた友人、そして愛人のマリ。
なんといってもこうした苦しい時に、一般的には
だらしないと思われる安男を助けてくれるところが
彼の人間としての魅力だといえます。

こうして、この作品のタイトルである
「天国までの百マイル」の旅路が始まるのです。
うだるような暑さの中、安男が運転するワゴン車は
千葉の病院へと走っていく。
そして、その道中には心温める出会いがいくつもあり、
最終目的日にも信じられないような奇跡が
待ち受けていることになります。

この作品に出てくる人物はみなどこかに人生の影のような
ものがあるのですが、共通しているのが人間としての本質、
優しさを持っている点です。
安男の兄や姉も母親の扱いに関してはどうしても一歩引いた形で
ひどい人間のようですが、実際は作品を読んでみると
それだけではありません。背負うべきものがあり、
その環境の中で母親に対してできることを常に考えてくれています。

この作品に関しては女性の描かれた姿が素晴らしいと思います。
まずは安男の母親です。前述しましたが、女手一つで
4人の子供を育て上げ、自分は最後まで子供たちの負担に
ならないように懸命に生きようとする姿がけなげの一言。

次に安男の妻である英子。
安男の母親をだれよりも気にかけ、さらに子供と安男との
関係も大事して、いつかは復縁しようと考える
またまたけなげな女性です。

最後に、安男の愛人である水商売のマリ。
自分が愛されることを強く望むことなく、ただただ、
愛する人間への奉仕の心で生きていく姿はこれはこれで
けなげとしか言いようがありません。
こうした女性たちに囲まれた安男は考えようによっては
幸せだったのではないでしょうか。
そして、作品を読み進めるにつれて、そのことに私自身
気づくことになります。
浅田次郎さんが人間模様を描く姿は本当に素晴らしいです。
どの作品にも間違いなく通じているところだと思います。
そして、この作品は特に切なく、感動することは間違いなしです。
私自身も自分の母親に対して何がこれからで来るのか、
ついつい考えてしまいました。
こうした思いを抱かせてくれる浅田次郎さんの作品の数々に
感謝するとともにこれからも素晴らしい作品を執筆し
続けてほしいと願わずにはいられません。