「図南の翼」読書感想文の書き方の例文1200字

※1224文字

「図南の翼」(小野不由美)の読書感想文

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「そんなこと、あたしにできるはず、ないじゃない!」

「あたしは子供で、国の難しい政(まつりごと)のことなんて、
なんにも分かりゃしないわ。
黄海に来て、自分の身一つだって人の助けがなければやっていけないのよ。
なのに他人の命まで背負えるははずがないじゃないの!」

旅もほぼ終点に近づいてきているなか、珠晶はついに本音を爆発させ、
まわりを驚かせます。
強気な発言を繰り返し、一緒に旅をしている仲間の前では決して
見せなかった本心を知ったときに、一生懸命我慢していたんだよね、

珠晶頑張れ!と応援したくなります。

最初、「大人がいかないなら私が王になる!」と決心し
一人で昇山の旅をしていたときは、12歳とは思えないくらいの
上から目線。
妖魔が徘徊し命の危険があるなか、仲間の頑丘や利広に向かって
「あんたばか?」と言ってしまうような典型的な
世間知らずなお嬢さんです。

その後、他の昇山者に会い、色々な考え方を知る過程で
「あたし、本当にバカだわ」と発言し始めるのですね。
珠晶は本当に素直な女の子です。自分の間違いを認めることができる。
読み進めるほど、気持ちの変化が感じられて、
どんどん珠晶に王になってほしい、
(いや、なるでしょ、ならないと困る!)と感情移入してしまいました。

珠晶の言動を読むたびに、子どもだった頃の自分を思い出してしまいます。
私も自分の弱いところを出すのが苦手だったな、とか、
強気にああ言ってるけれど、
ホントは素直になれないだけなんだよね、と。
だからこそ、彼女が本音を叫んだときは、過去素直になれなかった
私の思いを代わりに吐露してくれたと気持ちが高揚し、
涙が出てきました。

この本を手に取ったきっかけは、
「シリーズの途中だけれど、とてもお勧め本がある」
として知人に言われたからです。
この作品は「十二国記」シリーズの途中の作品ですが、
この一冊で完結するお話。

本筋は異世界を題材にしたファンタジーと別の主人公の成長物語で、
本筋の話とは時間軸も国も違います。
この本から読み始めても十分その世界に入り込むことができました。

また、物語の世界観も面白く、古い中国と韓国と日本を織り交ぜた
ような異世界が舞台となっています。
王、王を選ぶ神獣の「麒麟」(動物の麒麟よりはユニコーンのような
神話の話に近いですが)、仙人、そして民(たみ)。人々は、新たに
王様が選ばれるのを心待ちにしていて、自分こそは、と思うものは昇山
(麒麟に会い王になるか選定してもらう)する。
特別な世界と思いがちですが、登場人物のセリフは珠晶のみならず、
私自身の生活において考えさせられることばかりでした。

ハッピーエンドとしておわり、短編として楽しめるのはもちろんですが、
他のシリーズとさりげなく登場人物がつながっています。
エピローグで素性を明かさない人物の正体がわかったとき、
驚きとともに読み返してしまいました。

私自身もつらいことがあったとき、
モヤモヤして気分転換したいときにみ返す、
お気に入りの本になりました。