「秘密」読書感想文の書き方の例文2000字

※2012文字

「秘密」(東野圭吾)を読んでの感想

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東野圭吾の小説をまだ読んだことがないという方にとって、
何から読んだらいいかわからないので教えて欲しいといわれたら、
まずこの「秘密」を提案したいと思います。
東野圭吾の作品はご本人が医学に詳しいことも合って、心臓移植やDNA、
脳死をテーマにしたもの。
またはガリレオシリーズのような本格的なミステリー。
そして手紙やさまよう刃、白夜行といった少し重いヒューマンドラマ系と
さまざまです。
そんな中でも、比較的ページ数も少なく、キャラクターに同化して
読みやすいのが今からご紹介する「秘密」です。

ここに登場する人物は比較的少ないです。夫であり、主人公である平介。
妻である直子、そして娘の藻奈美です。
そもそものスタートは妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが
崖から転落。
妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの
妻だったというところからこの物語は始まります。
ここから杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まります。

まず、自分のみにこんなことが起こったとしたらどう受け入れるべきかまずは
悩むところから始まったしまうと思いますが、平介はこの現状を受け入れて
対処しようとします。
何といっても小学5年生の姿(藻奈美)をしていても、
その中身・人格は妻である直子です。
こんなこと、近所の方々や親戚にも話せるわけもありません。
しかし、考えてみてください。
一度は死んでしまったと思った妻と子供、体は娘が、人格は妻が実は
生き残っていたのです。
ここをポジティブに受け入れて生活していくことは非常に楽しいとも
考えられるのではないでしょうか。

そして、物語を読んでいくと娘が少しずつ成長していき、見た目は
大人になっていきます。
もちろん、人格は妻の直子のまま、中学校、高校にも通うわけです。
少しへんな感じもしますが、平介の身の回りの世話もすべて藻奈美が
行うわけです。
二人だけの空間の時には、もちろん以前と変わらない夫婦のままです。
平介は藻奈美の姿の直子を愛し続けるのですが、ここにはもちろん、
だれにもしられてはならない秘密があるわけです。
そして、直子自身もこのままでは自分自身も、平助にとっても
良くない結末が待っていると考えていたのでしょう。

もちろん、藻奈美に言い寄る男性もいれば、将来的には結婚もすることも
ありえるわけです。
通常であれば、こうした娘の成長を喜ぶべき父親であるべき平介は
素直に喜べないわけです。
それを知っている直子は平介以上につらいのではないでしょうか。
そして、思いつくのが人格もいつのまにか藻奈美に戻ると宣言することでした。

しかし、平介にとって、この告白がどれだけの意味を持つのか、
それこそ難しい問題です。
最終的には藻奈美は結婚することになり、平介もそれを受け入れる
ことになるのですが、もちろん実際に藻奈美の人格は直子のままです。
客観的に考えると人生をやり直そうとする直子をちょっとずるい女性だ
という見方もあるかもしれません。
しかし、そんなことはないのです。
直子に引きずられたままの平介はそのままでは、人生そのものも
棒に振ってしまうことにもなりかねないからです。
だからこそ、直子は平介に人格が藻奈美になるという宣言までしてして、
結婚をすることにしたのです。
こうして、杉田家の秘密は一旦終わりを告げ、ハッピーエンドと呼ぶのか、
バッドエンドと呼ぶのか読む人間にとって賛否両論のところは
あるかもしれません。
しかし、わたしはこれはこれでよかったのではないかと思います。

東野圭吾ならではのさまざまな仕掛けがあちらこちらにちりばめられていて、
読者がいろいろな見解を持つように仕組まれているわけです。
推理小説のトリックのように読む側を考えさせられるところは
まさしく東野圭吾ならではの力ではないでしょうか。

もちろん、この秘密を東野圭吾小説の導入におすすめしたい立場の私にとって、
非常に面白い作品であることは間違いないと思います。
そして、この小説を読んでもらいたい属性が私なりにあります。
それはこれから家族を持とうという男女です。
この小説には心と心のつながりがいかに大事か、一時の感情の
起伏だけではない日常生活の心のつながりの大切さをつぶさに描いています。
もちろん、杉田家の秘密があるからこそという見方もできますが、
これこそが日常なのです。

結婚するということは全てが日常になっていくことです。
まさか、こうした杉田家のような特殊な秘密を家族で共有することはなくとも、
何かと秘密や障害は発生してくるものです。
そんなときこそ、心と心のつながりを大事にして生活を送っていくことが
できたなら、本当に家族として一人前になるといえます。
この秘密という作品を通じて、改めてわたしは家内や娘との心のつながりが
どのレベルのものであるか、深く考える良い時間を得ました。
もちろん、家族全員がこの秘密という作品を読んで、
それぞれの立場で思いを共有した上でのことです。