「モモ」読書感想文の書き方の例文2000字

※1975文字

「モモ」(ミヒャエル・エンデ)を読んでの感想

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 「これ読んでごらん。」
シンプルな言葉とともに担任からこの本を手渡されたのは
私が小学4年生の時でした。
当時まだ長い小説など読んだことがなく、分厚くてずしりと
重い『モモ』にたじろいでしまいました。
その先生は好きでしたから、
(せっかくだから頑張って読んでみよう、読み切られるかな)
と不安に思いながらページをめくりました。
すると、
『むかし、むかし、人間がまだいまとはまるっきりちがう
ことばで話していたころにも、 あたたかな国々にはもうすでに、
りっぱな大都市がありました。そこには王さまや皇帝の宮殿が
そびえたち、ひろびろとした大通りや、せまい裏通りや、
ごちゃごちゃした露路があり、黄金や大理石の神々の像のある
壮麗な寺院が立ち、世界じゅうの品ものがあきなわれる
にぎやかな市がひらかれ、人々があつまってはおしゃべりをし、
演説をぶち、話に耳をかたむける、うつくしい広場がありました。
なかんずく大きな劇場もそういうところにはあったものです。』

不思議と人々のにぎやかな会話が聞こえてくるようでした。
先ほどの不安などすっかり忘れて物語にのめりこんでしまいました。
物語が進み、モモはいろいろな人と話したり時間どろぼうと
戦ったりしていきます。
その中で「聞く」ということ、「時間」というもの、何だか大切なものを
囁きかけられているようでした。
気が付けば最後のページをめくり終えていました。

5年後、高校生になった私はあの本との出会いをきっかけにすっかり本の虫
となっていました。
とはいえ日々の勉強や部活に忙殺され、明日はこれをしなきゃ、あれと
これもある、数年後には受験も控えている——と何だかよくわからないままに
焦っていました。
そんなある日、友人との何気ない会話の中で『モモ』が話題に上り、
もう一度あの本を読んでみることにしました。

『いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?
つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きの
ことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。』

衝撃的でした。やらなければならないことすべてを考えて、遠い先のことまで
考えて、やりたかったはずの事も楽しめないで、ひたすら不安になるのではない。
ただ次のことだけを考える。
掃除夫ベッポがモモに語りかけた言葉を反芻しているうちに、自分が先のこと
ばかりを考えて「今」を疎かにしてしまっていると気が付きました。
そして読み進めていくにつれ、今の私はまさしく時間どろぼうの口車に
乗せられて時間を倹約した気になって大切なことを見失っていく人々そのものだ
と痛感しました。
時間管理だと言ってスケジュール帳に予定を書き込んで実行していきます。
本当は人によって時によって時間の感じ方なんて違うのに。
英語の予習をしている一時間と友人と話している一時間は本当に同じでしょうか。
前者は長く退屈なもので、後者は楽しくてあっという間に過ぎてしまいます。
勉強も大事だけどその為に他の事を疎かにするほど私にとって大切なこと
だったのだろうか。
いや、いま目の前にいる人と話すこの時間はそれ以上に大切だと感じているではないか。
スケジュール帳の平均化された時間に騙されないで、その時々に目の前にある
大切なことに向き合っていこうと思いました。
不思議と勉強するときにもしっかり課題に向き合えるのです。
今はこの問題が大切なのだと。
そして誰かと会話するときにはその人との時間を愛おしんで、じっと耳を傾けます。

『浮浪者の少女モモに話を聞いてもらっていると、バカな人にも急にまともな考えが
浮かんできます。モモがそういう考えを引き出すようなことを言ったり、質問したり、
というわけではないのです。彼女はただじっと座って、話を注意深く聞いているだけです。
その大きい黒い目は、相手をじっと見つめています。すると相手には自分のどこに
そんなものが潜んでいたのかと驚くような考えがすうっと浮かび上がってきます。』

自分の話を、時間を押し付けて相手の話を急かすのではなくて、自分の時間をこの人
のために使いたい、話を待つのに使いたい。そう考えるようになりました。

時間を大切にするとは、一見無駄な時間は省き省いて時間に追われることではなくて、
今目の前にあることに向き合って、その瞬間瞬間を大切にしていくことなのだ
とこの本は教えてくれました。
ベッポはさらに続けてこう言います。

『するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、
仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。』

私はいま「今」を疎かにしていないだろうか。きちんと目の前にあることに、
目の前にいる人に向き合えているだろうか。やることに捉われてやりたかった
ことを楽しめていないんじゃないだろうか。
先の事ばかり考えて不安になってしまったとき、私はまたモモとベッポに
出会いに行きます。