「4TEEN」読書感想文の書き方の例文2000字

※2029文字

「4TEEN」(石田衣良)を読んでの感想

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『4TEEN』は2003年に直木賞を受賞した石田衣良の傑作の一つです。
4人の14歳の少年たちの物語です。作品の雰囲気としては常に日常を
意識していると感じました。
日常の中に、小さな事件がいくつも起こり、それを巡って行動をする
彼らの姿は、ちょっとどきどきするようなこともあれば、優しい心が
ほっこりとするような行動を取ったり、異性のことに興味津々で、
バカみたいな行動を取るときもある、彼らの行動一つ一つに、
自分がまだ登場人物たちと同じ年齢だった昔のことを
思い出しながら読んでいました。
少年時代特有の思い出であったり、悩みであったり、それらが
つらつらと描かれています。それらに共感できる点が多々あり、
物語からキャラクターが飛び出して、その当時の自分の状況と
重ねあわせながら、そして、彼らが友達にいて、そのまま
見聞きしていることを聞いているような思いをしながら
読むことができました。
ただ、事件の一つ一つは、やはり小説だな、と思うような
ことが多いように感じました。
ただ単に、その出来事は現実にありそうだと感じながらも、
それでも実際にこんなことを体験するのは難しいだろうな、
と思うようなことばかりです。私自身と重ねあわせていた、
というのが理由かもしれませんし、きっと、そこまで私の
人生が平凡なのでしょう。

ただ、作中の人物たちが、普通の生活ではなかなか出会うことのない
ことにぶつかって、悩んだり答えを出したりするのは、彼らが
生まれ持っての運命であったり、彼らが積極的に行動をした
結果でもあるのだろうとも思います。
ですが、それらの少し日常からかけ離れたことも、実際に起こり得る
ことなのだと感じさせるのは、このキャラクターたちの設定、言動などに
共感できることが多いからなのでしょう。

例えば、登場人物の中でナオト、という早老症、ウェルナー症候群
という病気にむしばまれている少年がいます。
ウェルナー症候群は、テレビなどで見たことがあるくらいには有名な
病気ではありますが、実際に身近にいるという人はそこまで多くはない
でしょうし、私の身近にもいません。
彼の悩みについては初めの章で描かれるのを皮切りに、主人公のテツローと
常に一緒にいる友人関係なので、話の中に何度も挿入されています。
それを見ると、普通とはかけ離れている状況にいるのですが、その彼を
取り巻く主人公のグループはみんな、十四歳の少年たちで、頭の中は
異性のことやいやらしい事でいっぱいです。

そこに彼自身も溶け込んでいて、普通の子供とは少し違うかもしれない、
けれども、根本的には異性に興味津々な少年たちのうちの一人でしかない、
というのが、妙にリアルなのです。
異質さと普通の混同、それは日常でも起こり得ることなのだ、ということを
感じさせます。
それに、そのように馬鹿馬鹿しい少年たちの心の中が描かれているおかげで、
ナオトが病気だと言うことが、決して悲劇的に描かれていない、という点も、
彼が毎日を楽しんで過ごしている、その環境を彼ら四人で作り上げている
と思うと、少しだけ心が温まるような気がするのです。

また、もともとは連載小説だったので、それぞれの章ごとに、
ゲストキャラクターと呼ぶべきキャラクターがいます。
拒食症の女の子、同性愛の男の子、病院から抜け出した老い先短い老人、
DVに悩んでいる人妻などなど、最初の二人は書かれている当時では、
テレビなどで良く取り上げられていたことなどをモチーフにしており、
特に思春期の辺りによく悩むことなどにスポットを当てられています。
ですので、主人公たちの関わり方も想像しやすいのですが、DVに
悩んでいる人妻などは、いったいどうやったら十四歳の少年たちと
かかわりがあるんだ、と驚いて疑問に思ってしまいます。
このエピソードは、友人の一人のジュンが出会い系サイトで出会った
女性ということになるのですが、これを解決させようとしていく様子は
ちょっと子供離れしているようで、それでいて、子供の時にしかできない、
子供らしい勇気のある行動のように思いました。

その他にもたくさんの出来事と関わり合いながら、人生の中で最も
いろいろな考えや思いに翻弄される年代の十四歳という期間を
過ごしている彼らは、最後にはうまく収まります。
きっとそうなったのは、この四人という登場人物がいたからじゃないかな、
と読後には思いました。
たくさんのことはあったけれど、それは一人一人がずっと悩んで
いたような事ばっかりではなく、その悩みを友達と共感したり、
何かあったら独断で行動せずに、友達に相談したり、
お互いのやり取りを得た後に行動するなど、ちょっとだけ
大人っぽい理性的な判断をしているときが多々あります。
きっと、こんな風に誰もが理性的に考えることができて、
そして信頼し合える友人関係があれば、現実でももっともっと
いろいろな事件が減るんだろうなぁ、と思ってしまいました。
フィクションだからこそ、とも思いつつ、ここから
学ぶこともきっと多いのでしょう。