「NO.6」読書感想文の書き方の例文1200字

※1240文字

「NO.6」(あさのあつこ)を読んでの感想

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「記憶の贈り物だね。」
私は、あさのあつこ作「NO.6」シリーズを読んで、
この言葉が1番思い出に残っています。このNO.6シリーズは、
最高峰の生活環境をすべて保障されていた主人公の少年、
紫苑がスラム街のような全く管理されていない街へと逃げ延びて、
そこで生活していくというフィクション作品です。
自分が知らないだけで、気づかないだけで地獄のような世界は
あるのだということを気づかせてくれる物語です。
生どころか生活の全てを保証された生活から、命の保障すらない
管理区域外での生活や、そこの人たちとの関係を描いています。
冒頭の言葉は、そんなスラム街で知り合った、ずっとそこで
暮らしているイヌカシという少女に紫苑が言った言葉です。
彼女は生まれた時から親にそのスラム街へ捨てられ、犬に育て
られました。
イヌカシはその犬の子供に混じって育てられましたが、その犬は
イヌカシに人としての常識やスラム街での生き抜き方を教えました。

しかし、その母犬はある日、悲惨な死を迎えてしまいました。
ヌカシはそれから寒さで寝ている間に凍死することを防ぐために、
人に一緒に暮らしている犬を貸すという商売をして、生きていきます。
そんなイヌカシと主人公の紫苑が出会い、イヌカシはスラムでの
生き方を知らない紫苑をバカにしながらも仲良くなっていきました。
ある日、イヌカシが母代わりだった犬とよく食べたご飯の匂いを嗅いで
母犬を思い出してすぐ近くにいるように感じる、と紫苑に言いました。
それに対し、紫苑が
「記憶の贈り物だね。」
と言ったのです。
イヌカシにとって匂いといった、ふとしたことから連想的に思い
起こされる記憶からの懐かしい贈り物なのです。
私がこの本を読んだのはもう3、4年前なのですが、この言葉が非常に
印象的で残っています。
私の祖父は、私が4年生のときに事故でなくなりました。
当時はとても悲しくて泣いてばかりでしたが、時が経つにつれ、
祖父がいないことにも慣れ、思い出すことも少なくなっていきました。
そんな時、駅のホームで祖父と同じ香りのするおじいさんとすれ違いました。
それは祖父がいつもつけていた整髪料の香りだったのですが、その香りを
嗅いだ瞬間に祖父と一緒に遊んで楽しかったことや怒られて泣いたことなど
懐かしい思い出が甦ってきました。
まるですぐ近くに祖父がいるような思いになりました。祖父のことを、
久しぶりに思い出し、ほっこりした気持ちになったのを覚えています。
紫苑が言う「記憶の贈り物」とはまさにこのようなことなのだと感動しました。
それと同時に、今私がこの瞬間感じている匂いや見えている景色、
ものを食べた時の味などの感覚も将来の私自身への「記憶の贈り物」になり
得るのだと気づきました。

そして、今この時は将来の私からみるとかけがえのない時なのだと思いました。
このことに気づいてからは、なんとなく生活するのではなく、「今」を
大切にして生きなければならないと感じました。
それが将来の私へのたくさんの「記憶の贈り物」につながるのだと思います。