読書感想文 「いきのびる魔法」(西原理恵子)    ※1996文字※

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この本の冒頭は、こう始まります。

「学校は、いじめられて、つらい思いをしてまで、行くところじゃない。」

そして、こう続きます。

「うそをついて下さい。」

そして、とにかく学校に行かないことを作者は勧めています。

普通に考えてみると、学校は行かなくてはならない所。

行かないと、先生に怒られるし、親も困ってしまいます。

さらに、うそをつくことは道徳的に悪いこと。

でも、よく考えてみると、普通には正しいと思っていることを闇雲に守っても、それが自分を守ることにつながらないことも、あるのではないかと思いました。

学校は行かなくてはいけない所ですが、それは皆んなと楽しい体験が出来る時間がたっぷりあるのが前提のはずです。

そして、勉強なり生きていくのに役に立つことを、不器用に、つっかえながらも学んでいく所です。

それなのに、自分では原因が分からずいじめにあって、嫌な思いをして、毎日我慢をして過ごす。

そして、我慢を重ねていく間に、どんどん普通の前向きな積極的な心がふさがれていき、生きる居場所がなくなってしまう気がし始まる。

悪気があって変なことをしている訳でもないので、自分でどうしたらいいか分からない。

でも苦しさは、どんどんつのっていきいき、どんどん心のもやもやが増えてくる。

そんな追い詰められた気持ちになったら、自殺だけはしない、出来ないといった一線が、些細なきっかけで踏み越えてしまうこともあるんだろうなと思いました。

そう考えると、作者の「うそをついて下さい」って、現実解になりうると思いました。

死んでしまったら、混乱したまま、プツンと生きていることが終わるだけ。

人生の本当の明るく生き生きとした楽しいことを、まだ体験しないうちにです。

そんなことにならないためは、とりあえず、逃げ出すための魔法の言葉が「うそをついて下さい」という作者の主張は、真実味があると思います。

作者は続けます。

「うそをつくのは大人はみんなしている。」これも、その通りだなと思いました。

絶対にうそをつかない人はいる訳がないし、うそをつくことで、物事を正しく、楽しい方向に進ませることだってあることに気が付きました。

次に作者は、本当の戦場で、最も怖く、また、簡単に人を殺してしまうのは少年兵であることを伝えています。

なぜなら、子供は大人と違い、愛することや大切なことを分からないからだそうです。

これは、とても貴重な指摘だと思いました。

小中学生でいじめをしているのは、少年と少女。まだ子供です。

そして、子供だから、愛すること、大切なことがまだよく分からない。

なので、ひどいことを簡単にしてしまうのは、ありえるなぁと感じました。

作者は続けます。

「生き延びで下さい。」「逃げてください。」「長い夏休みだと思って欠席して下さい。」「そして16歳まで生き延びて。」

この主張、真っ向から否定することは、誰にも出来ないと思いました。

人は、大きな脅威に直面したら、まずやらねばならないことは、生存を確保することです。

そのためには、戦う・刃向かう、逃げる、その脅威を気にしない、といった手段があると思います。

場合によっては、逃げることを選択することは、かっこ悪いことかもしれませんが、普通のことだと思いました。

では、16歳になればどうなるのか。

「たくさんのあなたを自由にする道があり、そして働けます。」と作者は述べています。

通信制高校、フリースクール、高認試験、アルバイト。

中学校までは、押し付けられた、選択肢のない環境と人間関係の中で、向き不向きも考慮されずに、お利口さんでありながら生きていくことを求められたんですよね。

16歳になれば、縛られない自由の道がたくさんあり、選択の自由がどんどん与えられていくんだなぁと思いました。

但し16歳になれば、自由は、無条件で与えられるとは作者は言っておりません。

「自由は有料です。お金を稼ぐということは、自由を手に入れるということです。」

この作者の主張には、とても重いものを感じました。

お金が手元にあるからこそ、意にそぐわない環境にいなくても済みます。

お金を稼ぐことは、社会生活を営むなかで、呼吸の様に必要なことだと思いました。

学校での勉強は、答えが一つのドリルを解いていくようなもの。

学ぶということを練習しているのですが、対象は、ドリルの解法や、運動・文芸。

もっと生きていくことに必要なこと、人との付き合い方、自分の心の開き方、失敗した時の気分転換の方法、一生懸命に頑張る中で仕上げる水準はここまでにしようと折り合いをつける方法、みんなで協同作業をすることで一人では出来ない凄いことを創り上げる方法、意見を出し合うことでよりよい考え方をまとめる方法、等々、本当に社会で役立つことを教えて欲しいと思いました。

本書は絵本形式の小冊子ですが、建前ではなく本音がズバリ書かれ、じっくりと考えさせられる内容が詰まった本だと思いました。


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